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蜘蛛の糸/芥川龍之介のあらすじと読書感想文

2011年2月10日 竹内みちまろ 参照回数:

蜘蛛の糸のあらすじ


 蜘蛛の糸は3つの段落から構成される掌握小説です。

「一」では朝の極楽の風景が語られます。真っ白な蓮の花が香ばしい匂いを発しています。お釈迦様が池のふちをぶらぶらと歩いています。極楽の池の真下は、ちょうど地獄の底になっていることが語られます。お釈迦様が池からのぞきこむと、地獄の底で、かんだたという大泥棒が苦しめられていました。お釈迦様は、大悪人のかんだたも、一度だけ善行をしたことを思い出しました。かんだたは、森を通る時に、あしもとの蜘蛛を踏み潰さずに助けたことがありました。お釈迦様は、その報いに、できることなら、かんだたを地獄から助け出してやりたいと思いました。ちょうど、蓮の葉の上に、極楽の蜘蛛が糸をかけていました。お釈迦様は、蜘蛛の糸を地獄にたらしました。

 「二」では地獄の様子が語られます。蜘蛛の糸を見つけたかんだたは、大喜びしてのぼりはじめました。しかし、地獄から抜け出すのは何万里もありました。かんだたは、途中で一休みしました。下を見ると、自分のあとに、何百、何千という地獄の罪人たちが、蜘蛛の糸をつたってのぼってきているのが見えました。自分ひとりでさえ切れてしまいそうなのに、これだけの人数がのぼってきたらたまりません。かんだたは、「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸はおれのものだぞ。お前たちは一体誰にきいて、のぼって来た。下りろ。下りろ」と叫びました。その瞬間に蜘蛛の糸が切れてしまいました。

 「三」は、ふたたび極楽の様子が語られます。一部始終を見ていたお釈迦様は、悲しそうな顔をしました。しかし、極楽の蓮は、そんな出来事にはとんちゃくせずに、あいかわらずいい匂いを発していました。極楽も昼近くになっていました。

蜘蛛の糸の読書感想文


 「蜘蛛の糸」は、構成が印象に残りました。極楽の様子を描いた「一」と「三」が物語の基本軸になっていると思います。地獄の様子が語られる「二」が真ん中に挟みこまれています。「一」、「二」、「三」の場面移行は、極楽からたらされた蜘蛛の糸をキッカケとしてなされます。

 「一」では、お釈迦様は、できることならかんだたを助けてやりたいと思いました。そんなことはつゆも知らないかんだたの様子が「二」で語られます。「三」では、お釈迦様は悲しそうな顔をしましたが、それ以上は何をするわけでもなく、もとのとおりに、ゆったりとした足どりで歩く様子が語られます。「一」と「三」では、うす目を開けて人間世界を見下ろしているようなお釈迦様の心にさえもとんちゃくせずに、泰然とした時間が極楽に流れていることが語られます。

 極楽と地獄は、天と地という場所的にも隔たっているのですが、それ以上に、流れる時間や空気に隔たりがありました。無駄を極限まで省いた簡潔な文章で、作品を立体的に構成して、かつ、直接に語られたストーリー以上の奥行きを与えていることろが、すごいなあと思いました。


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