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朗読 蒲田行進曲完結編「銀ちゃんが逝く」が開幕、ウィズ・コロナ時代の演劇はどう進化?

2020年7月10日



朗読 蒲田行進曲完結編「銀ちゃんが逝く」ゲネプロ (写真:竹内みちまろ、2020年7月10日、紀伊國屋ホール)

 つかこうへい没後10年追悼イベント、朗読 蒲田行進曲完結編「銀ちゃんが逝く」が2020年7月10日から12日まで東京・紀伊國屋ホールにて公演される。

 つかこうへいさんの代表作「蒲田行進曲」は1980年に紀伊國屋ホールで発表され、同年、第15回紀伊國屋演劇賞を受賞。その後、小説として第86回直木賞を受賞。1982年映画化され、第6回日本アカデミー賞を独占した。1987年に蒲田行進曲の完結編として発表された「銀ちゃんが、ゆく」は1994年に舞台化され、1997年新国立劇場小劇場の柿落とし公演として上演された。

 今回の没後10年追悼イベントは、つかこうへいさんの命日にあたる7月10日から3日間、朗読劇という形で公演される。観客席は1席ずつ空けて半数での上演となり、7月10日の初日公演が有料でライブ配信される。

 初日10日には初回公演前にゲネプロが開催され、出演の味方良介、元乃木坂46の井上小百合、植田圭輔、演出の岡村俊一氏が舞台あいさつを行った。

 舞台あいさつの冒頭、岡村氏から、“朗読劇”という形での上演に至った経緯が語られた。同作は当初、1か月間の公演として計画が進められていたが新型コロナウイルス感染拡大の影響で、未発表のまま中止の決断が下された。その後、社会情勢やガイドラインなどを鑑み、“朗読劇”という形での公演が決定したという。ただ、リモートも利用して稽古などを進めるうち、“半分を朗読で、残りの半分をソーシャルディスタンスを考慮した形での演劇で”という形を想定していたものが、約8割が朗読ではなくなるという形になったそう。岡村氏から、「朗読はしますが、演劇という形を届けいたい」と、演劇にかける思いが語られた。

 舞台あいさつはステージ上で行われたが、 味方は「泣きそうです。何を言おうかと考えていたのですが、“劇場にいる”って最高ですね。幸せだし、“できる”ということ、そして“命日に”、こんなに幸せなことはないなと思っています」と感無量の様子で言葉にした。「“朗読劇”と言っていますが、“進化型の朗読劇”ということで。“果たしてどこが朗読劇なのだ!?”と思われるかもしれませんが、観て頂いて、楽しんで頂けたら、それで僕は満足です」とも。

 ゲネプロでは、味方が“進化型の朗読劇”と表現していた同作の概要が明かされた。ステージ上では、朗読を利用しつつ、ソーシャルディスタンスに配慮しながら、見せ場の「階段落ち」をはじめ、熱い演劇が繰り広げられた。

 今回、チケットは一瞬で完売したが、「半数の客席」&「有料配信あり」という形での上演は、観客が劇場に足を運んで鑑賞することを前提としていた“生の演劇”に対し、「劇場で観るか(観せるか)」、もしくは「配信で観るか(観せるか)」という選択を、観客と主催者の双方が自由にできることを浮き彫りにしているのかもしれない。

 コロナによる自粛期間を経て、演劇が以前とは違ったものになるのか? どう進化するのか?……という点にも注目したい。(竹内みちまろ)




朗読 蒲田行進曲完結編「銀ちゃんが逝く」ゲネプロ (写真:竹内みちまろ、2020年7月10日、紀伊國屋ホール)



朗読 蒲田行進曲完結編「銀ちゃんが逝く」ゲネプロ (写真:竹内みちまろ、2020年7月10日、紀伊國屋ホール)


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