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書評「ふたりのロッテ」エーリッヒ・ケストナー著/池田香代子訳

2017年11月30日 1時45分 参照回数:

 もしも自分に生き別れた双子の兄弟、姉妹がいて、偶然にも出会ってしまったら、どうする・・・?

 エーリッヒ・ケストナー著「ふたりのロッテ」は、そんなことを読者に問いかけてくる。

「ふたりのロッテ」あらすじ

 とある夏のキャンプ場。

 9歳の少女ルイーゼ・パルフィーとロッテ・ケルナーは、ひょんなことから偶然出会ってしまう。

 なんと!お互い瓜ふたつなのだが、全く面識がないという。これにはキャンプ場の子供たちや先生方は大騒ぎ。ここからロッテとルイーゼの不思議な運命が幕を開けることとなる。

 最初こそ戸惑う二人であったが、お互いの身の上話をするうちに徐々に打ち解け、本当の姉妹のように仲良しになる。だが、これまた不思議!実は二人は本当に姉妹で、しかも双子だったことが判明するのだ。

 母の元で暮らすロッテと父の元で暮らすルイーゼ・・・二人はキャンプ最終日にある計画を実行する。

 それは二人が入れ替わることだった。

 ロッテがルイーゼに、ルイーゼがロッテになることで、未だ会ったことのない母と父に会うことができ、なぜ私たちは離れ離れになってしまったかというのを突き止めようとする。

 次第に彼女たちは、両親を仲直りさせ、4人で暮らすことを望むようになるのだが、果たして上手くいくのだろうか・・・?

「ふたりのロッテ」執筆背景

 著者のエーリッヒ・ケストナーは、ドイツの詩人であり、幼い頃は貧しい生活を送っていたという。1928年に作家としてデビューを飾った彼は、特に子供向け小説の類で評価されるようになる。だが、そういった成功もやがて、ナチスドイツ占領下のドイツでは厳しい目にさらされ、執筆活動を抑圧されてしまう。

 しかし、物書きとしての情熱を失わなかったケストナーは、命の危険を顧みず、執筆を続けたのだ。その最中に生み出されたのが、この「ふたりのロッテ」だ。

 最初に本書を手にとった時、どうしてもどこかで読んだことのある・・・もしくは見たことがある・・・という思いを拭い去れなかったのだが、それもそのはず。

 実は本作は小説として刊行される以前に映画化された作品で、その後、それを読み物にしたという経緯を持つ作品なのだ。

とても読みやすい痛快な一作

 私が知っているのは、1999年にリンジー・ローハン主演で映画化された「ファミリー・ゲーム」という作品なのだが、幼い頃から親しんできた映画の基になった作品と、偶然にも巡り会えたということに何とも言えない嬉しさや感動を覚えた次第である。

 映画ではイギリスとアメリカを舞台としていたが、本書の舞台となっているのはドイツのミュンヘンとオーストリアのウィーン。そういった細かい設定などは変わっているものの、幼い頃に観た映画の世界と何ら変わりない物語が繰り広げられることから、情景がみるみるうちに頭をよぎる通快な体験ができた。

 基となっているのが映像作品であるからだとは思うが、登場人物たちの様子や舞台となる村や街の情景もしっかりと描写されており、読みやすさという点でもピカイチで、双子の姉妹が両親に対して仕掛ける一世一代のイタズラを、ハラハラドキドキしながら、ページをめくる指が止まらない!一日中、没頭してしまう魔力も秘めた一冊だ。

 また、双子の姉妹が母親もとい父親の心を動かしていく様も小気味よく、愛くるしい表現がされており、なんだか幸せな気持ちにもさせてくれる。

 それに主人公のロッテとルイーゼだけでなく、彼女たちを取り巻く脇役の登場人物たちもまた、良い存在感を発揮しており、しっかりとした支柱的役割を果たしているように感じた。



【この記事の著者紹介】
Sunset Boulevard(書評&映画評ライター):
 映画を観ることと本を読むことが大好きな、しがないライター。オススメ小説の書評や読書感想文を通じて、本を読む楽しさを伝えられたら嬉しいです。また幼き日よりハリウッド映画に親しんできたため、知識に関しては確固たる自信があり、誰よりも詳しく深い評論が書けるように日々努力を重ねています。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。Twitter:https://twitter.com/sunsetblvdmovie



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