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海底二万里のあらすじと読書感想文

2017年9月18日 20時40分 参照回数:

 SF小説の作家として最も有名な名前と言えば、恐らく、ジュール・ヴェルヌであろう。そして、ジュール・ヴェルヌの代表作として真っ先に挙がるのが、この「海底二万里」だ。

 私がジュール・ヴェルヌの名を初めて聞いたのは、幼き日に観た映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3」でのこと。劇中で主人公の科学者エメット・ブラウン博士(=ドク)が愛読書としてヴェルヌの名を挙げ、自身の人生に影響を及ぼしたと語っていたのだ。

 その日からいつかは読もう読もうと思っていたヴェルヌ作品を読む日がやってきた。もちろん、映画やその他諸々で触れたことはあったのだが、じっくりと読むとなると今回が初めてである。

 手に取った瞬間からすでに冒険の旅は幕を開けており、これからどんな奇想天外なストーリーが繰り広げられるのかと大きな期待感を抱きながら、ページをめくり続けていったものである。

「海底二万里」ジュール・ヴェルヌ著/訳 荒川浩充のあらすじ

 時は1866年。この年、ある奇怪な事件が世間を騒がせていた。オーストラリアの東五海里の海で“ある巨大なもの”が目撃され、それは“動く暗礁”なのか、それとも“巨大な鯨”なのか、はたまたそれとも違うものなのかと、様々な憶測が飛び交っていた。その“ある巨大なもの”は大海原で数多くの海難事故を起こさせ、クジラよりも速いスピードで前進し続ける。

 その最中、“ある巨大なもの”の調査のためにパリ博物館教授のピエール・アロナックスとその召使であるコンセイユは、フリゲート艦に乗り込み、奇想天外な冒険の旅へと出発する。

 艦内で出会ったネッド・ランドも加えた3人は順調な航海を続けるが、途中で海に投げ出されてしまい、命からがら“ある巨大なもの”の上に漂着する。巨大なイッカクであるとの仮説が立てられていたその“巨大生物”は、世界に反旗を翻した反逆者ネモ船長が指揮する潜水艦ノーチラス号だったのだ……!

「海底二万里」ジュール・ヴェルヌ著/訳 荒川浩充の読書感想文

これこそまさにVR! 壮大な冒険が目の前で繰り広げられる!!

 本書を大人になってから手に取った身として最初に感じたことは幼少期に読んでいたら、もっとこの世界に興奮と感動を抱いただろうなということだ。もちろん成長した大人が手に取っても、存分に楽しめるSFアドベンチャーだ。

 本書において最も特筆すべきなのは、その巧みな描写の数々。流石は言わずと知れた偉大な作家ヴェルヌであるだけに、登場人物の表情や心情、さらには細部に至るまで景観を細かく描き、まさに目の前で起こっていることかのごとく肌で冒険を体感できるのだ。

 自らがアロナックス教授の視点に立ち、コンセイユやネッド・ランド、さらにはネモ船長とともに「ノーチラス号」に乗り込み、海の上ないし海底で生活しているかのような錯覚さえ覚える。

 そこに美しい挿絵も相まって、手に汗握る奇想天外な冒険の旅へと誘ってくれる。“誘う”、まさにその言葉がピッタリの一冊である。

 本書が発刊された当時はこういった書物が最大の娯楽であった。そんな時代に人間の想像力を試すかのごとく綴られた壮大なアドベンチャーは全く色褪せることがなく、映画やTVドラマ、アニメにゲームなど、物語を楽しむことができる娯楽は数多く存在する現代においても、新鮮な体験を提供してくれることだろう。

 ヴァーチャル・リアリティ(=VR)という言葉を最近よく耳にするが、本書は高いお金を出して遠出することもなく、自宅でカウチにでも寝転びながら、体感できるいわばアナログなVRなのだ。

 ネモ船長と共に訪れる海底の森、サンゴの王国、紅海や海底の炭鉱といった神秘的な世界の数々、さらには巨大タコとの格闘など、活字で綴られた物語が視界全体に広がる傑作SFがこの「海底二万里」なのだ。

 もちろんネモ船長を通して語られる世情への警笛や危惧なども見逃せない要素であり、現代社会にも相通ずるメッセージが込められている。

まとめ

 最後になってしまったが、本書は若ければ若いほどその人生に大きな影響を及ぼす一冊だろう。本書を通じて科学や海洋生態学に興味を持ってくれるような少年少女がたくさん現れてくれたら、これ以上ない至福である。ぜひとも、一度は読んでほしい一冊だ。ジュール・ヴェルヌ入門書としても、オススメだ。船酔いや酸素の欠如にはお気をつけて。それでは、海上海底双方から奇想天外な冒険を体感できる「海底二万里」の旅を大いにお楽しみください。無事、帰還できることをお祈りしております。(文=Sunset Boulevard Twitter:https://twitter.com/sunsetblvdmovie


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