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映画評「Okja/オクジャ」のあらすじと感想|メッセージ性の強い社会派映画

2017年8月30日 23時15分 参照回数:

映画「Okja/オクジャ」
監督:ポン・ジュノ
製作:2017年=韓国・アメリカ

 私たちは日々、牛や豚、鶏など、生き物から命をもらって生きているが、そういったことに感謝して毎日を過ごしているだろうか。そんなことを考えさせられる作品であるのが、この映画「Okja/オクジャ」だ。

 本作はNetflixで配信開始されるや瞬く間に大きな注目を集め、批評家から絶賛された作品である。なぜ、これほどまでの高い評価を本作は受けるのだろうか。恐らくそれは、身近で起きている出来事でありながらも、全く意識できていなかったことを本作は提議しているからであろう。

「Okja/オクジャ」のあらすじ

 物語は2007年に始まる。世界的は飢餓を救済するため、ミランド社のCEOに就任したルーシー・ミランドは、遺伝子操作で生まれた26匹の特殊な豚を26カ国の農家に託し、10年後に最も優良な豚に育てあげた者を表彰するという"スーパー・ピッグ・プロジェクト"を開始する。この計画によって、世界的な飢餓を無くせると考えたのだ。

 時は流れ、2017年。アメリカから遠く離れた地で暮らす一人の少女・ミジャ。彼女は山奥で暮らしており、10年前ミランド社より託されたスーパー・ピッグのオクジャと共に自然に身を任せた自由な生活をしていた。

 10年前にやって来たオクジャも今では互いを必要とする家族であり、祖父と3人で幸せな毎日を送っていた。

 ところが、そんな幸せな日々も終わりを告げようとしていた。そう、"スーパー・ピッグ・プロジェクト"が実を結ぶ日がやって来てしまうのだ。その計画が実るということはミジャとオクジャは離れ離れになってしまうことを意味する。

 この計画を取り仕切る人間の一人で動物学者のジョニーがオクジャを最も優良な豚としてニューヨークへ連れにやって来た。

 ミジャと祖父はなんとかオクジャを買い取ろうとしたものの、上手くいかず、結局オクジャは輸送用のトラックに積まれてしまう。

 どうしても納得がいかないミジャは単身、ミランド社へと向かいオクジャを連れ戻そうとするが、そこへ会社の重役たちからの魔の手や動物愛護団体の過激な計画などが相まって、オクジャはアメリカへ連れられて行ってしまう。

 果たして、ミジャはオクジャを無事連れ戻すことができるのだろうか?

ファンタジーにして食肉産業への警笛を描いた社会派作品

 本作はカンヌ国際映画祭をいろんな意味で騒然とさせた作品であり、何かと話題を振りまいたことでも知られている。

 監督を務めたのは鬼才ポン・ジュノ。韓国を代表する映画監督である彼は独特な魅力を漂わせた作品を作り出すことに定評があり、物議を醸すことも珍しくない。そんな彼が2017年最大の問題作として本作を放ったのだ。

 本作は森の中で豚と共に暮らす少女の生活を基本軸としている作品のような幕開けを見せるのだが、主題となっているのはそこではなく、現代における食肉産業の実態やそれに伴う動物愛護といったメッセージを浮き彫りにした作品なのだ。

 オクジャとミジャの友情や家族愛を中心とした物語にファンタジックな映像を織り交ぜながらも、そういった現代社会への痛烈な問題提議を起こしていることから、言うなれば社会派映画の枠組みに入る作品と言っても過言ではない。

 そのため、どうしても我々が生きるために食している"肉"に対しての意識が変わり、様々なことを考えさせられる。

 生き物から命をもらい私たちは生きている。

 だからもっと食物に対して感謝しなければならない。そんな心境の変化のようなものを思い起こさせてくれる秀作だ。

 ただその反面、少々豚肉を食することに関して、抵抗を覚えてしまうかもしれない。それだけは念頭に置いてご鑑賞いただきたい。

実力派キャストに注目!!

 キャストもなかなか秀逸で、主人公の少女ミジャを演じるアン・ソヒョンも素晴らしいのだが、彼女を支える俳優たちが実力派揃いであるところにも注目だ。

 ミランド社のCEOルーシーをティルダ・スウィントンが嫌らしく演じれば、動物学者のジョニーをジェイク・ギレンホールがエキセントリックに演じきる。

 ジェイクに関しては近年、個性の強い役柄を多く演じているが、ここにきて、また新たな境地を開いたようにも思う。

 動物愛護団体の面々にも「プリズナーズ」のポール・ダノ、「ウォーキング・デッド」のスティーブン・ユァン、「幸せの隠れ場所」のリリー・コリンズなどの旬なキャストが起用されており、それぞれ抜群の演技を魅せてくれる。

 俳優たちの演技やメッセージ性の強いストーリーが印象深く、大いに心揺さぶられる一作。

 社会や道徳の授業など、小学校で子供たちに見せるべき作品のようにも感じた。
(文=Sunset Boulevard Twitter:https://twitter.com/sunsetblvdmovie



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